農園引き継ぎと
プライベート
大谷:こんにちは。
お時間をいただきありがとうございます。今日は、山本さんの素顔と農園主としてのいい意味での、ギャップを見つけられればいいなと思っています。よろしくお願いします。
山本さんの経歴を教えてください。
山本:平成8年、1996年、津島町生まれです。愛媛県津島町で生まれ育ちました。
岩松小学校、津島中学校、南宇和高校、愛媛大学農学部進学しました。
中学校の時に、農業やると決めていましたので、平成31年に、大学卒業後、新卒のまま帰ってきて実家の農家を引き継ぎました。
大谷:中学校の時に決められてたなんて、すごいですね!
園主になるのに登録とかあるんですか?
山本:新規就農者、認定農業者という仕組みがあって、自分の土地を〇〇ヘクタール持っているという登録を市にします。大学から帰ってきたときに、親から一部を譲り受けて、その登録を終えて、新規就農者としての登録ができました。一度に、全部を譲受してしまうと、税金とかの関係もあって、徐々に譲ってもらっている状態です。現在の、お父さんとの割合的には、3対1程度だが、いずれは全部引き継ぐ予定です。土地と契約書がセットで、就労者として登録します。
大谷:農業をやっている人ってお休みってあるのでしょうか?特に山本さんは米もやっているので、どうですか?
山本:今は休みはないですね〜。でも、こんな時代ですから、週1で休みをとってという方もいらっしゃいます。特にUターンとかで、一度県外に出られて、戻って来られた方は、会社勤めを以前されていたりしているから、週1で休みを必ず取る、という働き方もあります。ただ、学校卒業から直接農家になった人は、大体休み無しで働く場合が多いと思います。旅行の時に、1日、2日空けることはあるけど、中々長く空けることは難しいです。畑がやっぱり気になります。
大谷:もし、休みがあったとして、やってみたいことはありますか?
山本:ドライブとかが好きです。ふと思った時に、さっと出かけるのが好きです。
大谷:子供の頃、どんなお子さんだったんですか?
山本:外で遊びが好きな子供でした。魚釣りとか大好きでした。水路とかで、どじょうとか取っていましたが、今は、全然居なくなっちゃいました。
大谷:お父さんに連れられて、みかん農園にいかれたこともあると思いますが、お手伝いは中々難しいと思いますが、そこではどんなことをされてたんですか?
山本:みかん農園は、基本的に赤土が多いので、水晶があるんです!なので、水晶を一生懸命見つけてました笑あと、機械が好きで、色々な機械のエンジンをなんとかして、かけてやろうとして、鍵を壊したりすることもありました笑
大谷:山本さんの年齢で、その頃で言うと、インドアの子とか多かったと思うけど、外遊びが好きだったんですね!?
山本:仲の良かった友達の家が少し離れていたと言うこともあって、間にある南楽園とかで友達と集合して、遊んでいました。あと、小さい頃から、卓球を習わされていたんです。
大谷:習わされていた!?笑
山本:小、中、高、大学まで卓球していたが、大学の時に、改めて卓球嫌いだったなーと気づきました(笑)自然が好きみたいです。
大谷:でも続けられたのは、途中で投げ出すのが嫌な性格もありますか?
山本:そうですね。そんな性格でもあると思います。
大谷:昨年からコロナが来て、生活面で変わったことは有りましたか?
山本:仕事での変化は少なかったけど、今までであれば、農園に来てもらうのが、普通だったのが、Zoomでの商談になったりとかはしました。でも、やっぱりどんな農園で育てているのかは、実際現場で見たいと思うので、そこは少し残念でした。
九州でまだ若くて31歳くらいの方がいて、デコポンとかを作るのが、相当上手な人がいて、糖度30のみかんを作ったりする人がいるんです。その方は植物医学から学んで、独自のやり方を確立されている方がいらっしゃるんです。本当であれば、全農さんとかから指導を受けながらやるんですけど、その方は、自分で研究されていて、本当はその方に宇和島で研修をしてもらう予定だったのに、コロナで延期になっていて、とても残念です。
大谷:農園の方々同士の飲み会とかが時々あるような話を、他の農家さんに聞いたことが有りますが、集まれなくなって不自由なところはありますか?
山本:コロナの前は、飲み会もよく有りましたが、やっぱりそこはコロナで本当に無くなりました。そこが、一番変わったことかもしれません。飲み会に限らず、各会の理事会や総会も開けないので、決議が書面決議となってしまい、役員が各農家さんを回って、印鑑もらわないといけない状況になっているので、ちょっと大変です。あと、飲み会は、一つの情報交換の場で、今こんなことしてるんよー、とかこれからこんな事をしようと思ってる、みたいな情報交換も出来なくなっているので、そんな機会はやっぱり大切だなと思います。
大谷:結構お酒は飲むんですか?
山本:弱いですけど、それなりにお付き合い出来る程度は、飲みます。
大谷:カラオケとか歌われたりしますか?
山本:はい、歌いますよー。
大谷:カラオケはどんなの歌うんですか?
山本:周りの方は、先輩が多いので、BOOWYとか歌いますよ!米米クラブも歌います。親父がサザンとか好きだったので、その頃の歌は、耳に馴染みがあります。でも、一度、バックナンバーとか歌ったら、「お、それ娘が聞いとる」となって、盛り上がったこともあります笑
大谷:好きなアーティストや芸人さんはいますか?
山本:うーん、バナナマンが好きです笑 バナナマンがやっているラジオが好きで、農作業をしながらラジオで聞いてます笑
大谷:山本さんのプライベートな話しは、なんと「バナナマンが好き」まで来れました笑!
山本:そうそう、そんな話、他の人にすることは無いですよ!笑
山本みかんのこと
大谷:好きな言葉とかはありますか?
山本:「常に初陣」が好きです。初心を忘れないという意味があります。戦いで慣れが出てくると思うので、その慣れを意識的に排除するために、この言葉を意識しています。
大谷:いい言葉ですね!さて、ここからはみかんについて質問させてもらいます。今、扱っている柑橘の種類は、何種類くらいあるんですか?
山本:大きく分けて、温州みかん、中晩柑で、品種で言えば、極早生、早生、南柑20号、中晩柑系で言うと、甘平、紅マドンナ、土佐文旦、イエローポメロ、メイポメロ、なつみなどを扱ってます。
大谷:宇和島は、同じ土地で沢山の柑橘が育てられる気候と聞いたことがありますが、今後、こんな柑橘やってみたいなと思っているのはありますか?
山本:高糖度系のをやってみたくて、今年苗木を買ったのが、みはやと、ゆら早生ですかね。時期が、早いけど、糖度が高いと言われるものです。
大谷:やっぱりお客さんは甘いのが好きなんですね。
山本:消費者の方がものを買うときの基準が糖度だったりするんです。数字で表せると言うのが、やっぱり一番わかりやすいですよね。また、僕自身が、変わったものを作ってみたいという願望も中にあると思います。来年からは、紅マドンナと甘平の掛け合わせの新品種もやってみたいと思っている。
大谷:栽培が難しいじゃ無いですか?
山本:はい、チャレンジです!紅マドンナ等は、 JAが取っている商標なので、農協出しのものは紅マドンナになるけど、自分たちで出荷する分は、品種は同じでも、姫マドンナというような名前になるんです。
大谷:姫マドンナは、きさいや広場(道の駅)とかで見たことあります!消費者としては、ブランディングされている柑橘の名前ってとても大きいですよね。姫マドンナは、紅マドンナになりきれないマドンナだと思ってました笑
山本:笑
大谷:最近、柑橘ソムリエの講座を受けて、改めて知ったんですけど、柑橘ってめちゃくちゃ種類が多いですよね。消費者側からしたら、良くわからないんです、どれがどれか。
山本:そうですよね。品種が多いのは、農家の経営的な面で、周年で少量多品種で出荷できるようにしているというのもあるし、柑橘の研究所で新しい品種が出てきたら、消費者の購買意欲も上がるので、そういうのを農家は積極的に取り込んでいくという形になっています。
大谷:土地柄で、宇和島みたいに、沢山の品種を取れる土地って珍しいと聞きますがどうですか?
山本:気候もあると思いますが、やっぱり地の問題もあると思います。地がいいと、何を植えても美味しいんです。
大谷:ちなみにみかんてなんでオレンジ色なんですか?
山本:色素の問題なんですが、気温差で色がついていくんです。昼と夜の気温差が、ある程度しっかりないと色はついていかないんです。色づいた後、木なりで置いていても、あまり色は変わらないんですが、熟して中の薄皮が薄くなっていきます。とっても美味しいんですけど、やっぱり鳥や虫は、美味しいのを知っていて、やられます笑 1個1個袋がけすれば、出来るんだけど、それだけ手間と経費がかかるので、そういうのは、高級みかんとして木箱入りとかで、販売されています。
大谷:僕の知り合いで、河内晩柑を藁に敷き詰めて熟させるという手法を取っている人がいますが、そんなやり方はされますか?
山本:高知の方には多いですね。酸が抜けることで、味が落ち着いて、甘さを感じやすくなると思います。
大谷:みかんの出来を見るとき、目利きの部分だとどこを見るんですか?
山本:へたの部分ですね!木があって、みかんのなっている枝が細いと甘くて美味しい。なので、枝を見れば大体わかります。枝が太いのは、あまり良くない。きゃしゃな枝の方が美味しいし、みかんの肌、ツヤが全然違う。
大谷:今度、見比べたり、食べ比べたりしてみたいなー。同じ木でも大きさが違っているものもあると思いますが、なぜですか?
山本:それは単純に成長の違いです。でも、その大きさを出来る限り同じにするために、剪定をして、バランスよく養分が実に行くようにします。また、摘花になると、ついている実の量を見て判断します。幹の太さというよりも、葉っぱの数を見ます。もちろん葉っぱの数は数えれないので笑、感覚ですけど。
大谷:糖度を計る機械を持っていらっしゃったかと思いますが、あれはどういうものなのですか?
山本:僕の持っている機械は、非破壊性の機械で、赤外線で水分の反射を見て、柑橘を切ったり、針を刺したりせずに、糖度が測れる機械です。
大谷:そういう機械って普通の農家さんは持ってらっしゃるんですか?
山本:あまりいないですね。大体は、JAさんが共有で持っていて、少し確認してという感じです。ここは、山本みかんの強みの一つではあると思います。
大谷:木なりのものも確認できると思いますが、もし、出来があまり良くなくて、そこから挽回するために何か出来ることって出来るんですか?
山本:そこから出来る限りのサポートをしながら挽回はしていく努力はしますが、結果的な出来で、加工品に回したりというような使い分けをしたりします。
大谷:そう言う意味でも、柑橘を傷つけないでも、糖度が測れるというメリットは大きいですね。柑橘って表年、裏年ってあると思いますが、どういうことですか?
山本:みかんは、その年についた実の部分からは、翌年は実がならないんです。なので、実が付きすぎると、翌年に実がならなくなるんです。なので、それを抑えるための、剪定や摘花なんです。特に年老いた木に顕著に現れます。
大谷:日照時間とか雨量ってしっかり記録して管理しているですか?
山本:農協さんが雨量計とかで、データをとってくれています。農協さんの黒板に書かれています。なので、データを知りたいときは、農協さんところに行って、どのくらい降ったのか等を確認しにいかないといけないんです!
大谷:わー、それは大変ですね!でも、それはそれで、コミュニケーションをとるきっかけにもなるからいいですよね。
山本:そうです、そうです。ありがたいです。
大谷:ちなみに扱っている柑橘でイチオシはなんですか?
山本:味で言うと、僕が好きなのは、南柑20号です。
柑橘は、色々な時期に採れるようにするために、常々品種改良されています。他のフルーツとの被りの時期まで意識しながら、品種が改良されていってますね。来年チャレンジする予定の紅マドンナと甘平の掛け合わせの新品種ですが、4月頃が収穫時期になるんです。その頃って、晩柑系になるので、あまり甘い品種が多く無いので、そこに甘い品種をぶつけるイメージです。
「常に初陣」
大谷:3人兄弟の一番末っ子と聞きました。お兄ちゃんがいるのに、農業をやろう!って思ったきっかけってあるんですか?
山本:きっかけは特に無いんです。自然の流れでした。親にやれと言われたこともないし、兄弟とそんな話をしたこともないんです。中学校の時に、俺がやるんだと自然とそんな思いが芽生えました。
大谷:今回、おじいちゃんの代から3代目になりますが、3代目として、どんなチャレンジをしたいと思ってますか?
山本:僕は今の栽培管理では納得いってないところがあって、もっとやりたいことが沢山ある。でも、僕一人ではできないので、これから人の採用をしたりしながら、チームとして、動いていきたいと思っています。
技術的な部分もカバーしていきたいと思っていて、例えば、ドローンにしても自分のところだけではなくて、他の農家さんの消毒も対応できるようになれば、そこも仕事にすることができると思っています。
大谷:山本さんと話してると未来の農業が見えてきますね!
山本:そうですね、やっぱり楽しくしないといけないなと思ってます。まずは、自分が楽しくやってみて、それを伝播させていければと思っています。
大谷:最後に山本さんから消費者の方に伝えておきたい、山本みかんの魅力を教えてください。
山本:とにかく本気で作ってます。自分のところだけが出来る技術って、今更、探すのは難しいんですが、自分の本気度は、自分にしか作れないものだと思うので、その気持ちは絶対に無くしたくないと思っています。「常に初陣」です!
大谷:今日は、ありがとうございました!
山本:ありがとうございました!
対談者プロフィール
山本 湧太 やまもと ゆうた
愛媛県津島町生まれ
岩松小学校、津島中学校、南宇和高校、愛媛大学農学部卒後、農家を引き継ぐ
大谷 晶一 おおたに しょういち
高知県四万十町(旧窪川町)生まれ
㈱チェリッシュスタジアム代表取締役/CoCo壱番屋加盟店オーナー/Coworking space UWAJIMAQUESTオーナー/
トラストコーチングスクール認定コーチ